日本史偉人伝

加藤 清正

2018.12.22

平成28年4月14日、午後9時26分。熊本地方を震源とするM6.5・震度7の地震が発生しました。私の住む福岡でも大きな揺れを感じ、テレビのニュースには、土煙を上げる地震直後の熊本城大天守の様子が映し出されました。4月16日の午前1時25分には、再び熊本地方をM7.3・震度7の地震が襲いました。熊本城の様子としてテレビに映し出されたのは、崩れた石垣、倒壊した櫓(やぐら)。それでも、創建当時から残る宇土櫓、熊本の中心部からも見える大天守は、瓦・石垣などの崩れはあったものの、現在も熊本県民を励ますかのように、堂々とそびえ立っています。今回は、熊本で「清正公(せいしょこ)さん」と親しまれ、熊本城を創建した加藤清正を紹介します。

 

加藤清正は、永禄5(1562)年6月24日、尾張国(現在の愛知県)に、加藤清忠・伊都の次男として生まれ、幼少期は夜叉丸、虎之助と呼ばれました。母の伊都がのちの豊臣秀吉の母と親戚関係にあったため、清正は秀吉に仕え、のちに小西行長とともに熊本を半分ずつ与えられました。関ヶ原の戦いの後は、現在の熊本県に当たる領地を治めることになりました。

 

加藤清正が新城(現在の熊本城)の築城に取り掛かったのは、慶長6(1601)年とされています。肥後54万石の領主として、それにふさわしい城構えを清正は考えていました。現在も熊本市内を流れる白川を自然の外堀として活用することを清正は考えつき、幕府に工事の許可をもらい、工事を始めました。これまでの築城経験を活かし、堅牢な城を築こうと清正は考えました。城内には椎の木などを植えて薪に備え、畳には芋の茎を入れ、銀杏を多く植えて食料の備蓄も考えました。城の石垣を築くに当たっては、石工の棟梁が血判をしたため、秘密は厳重に守られました。石垣の隅は算木積みという手法を用い、長方形の石を両面から交互に指が入らないほど緻密に積みあげていく方法によって建設されました。城内に入る通路が枡形になっているのも熊本城の特徴の一つです。本丸にたどり着くだけでも最低百日はかかると言われ、たどり着いたとしても石垣は反り返った「武者返し」、万一それを超えても、城の内部に石落としがあり、防御について非常に工夫を凝らしたつくりとなっていました。

城下町づくりにも清正は乗り出しました。その大きなものは、水運の改良でした。特に坪井川の改良により、城の内堀として活用するだけではなく、水運としても用い、薪や米類、魚介類の運搬が盛んになりました。白川と分離したことにより、白川からの土砂の流入を防ぐこともでき、川が氾濫することも少なくなりました。

もちろん、城下町以外の地域にも目を向けました。実は、清正が領主となる以前の肥後(熊本)では、山も川も荒れ放題で、少し雨が降れば川は氾濫し、水田を開いても良い土地は少なく、そのため収穫も少なく、飢える農民もいるような様子でした。清正が肥後に入った時期はちょうど梅雨の時期で、白川も、北部を流れる菊池川も氾濫し、大きな被害が出ていました。清正は、一刻も早くこの惨状から民を救い出すことを決意しました。菊池川、白川、緑川、球磨川の大きな4つの河川の治水を行い、それぞれの治水を行った後は、多くの場所で水田が開かれ、収穫量も上がり、豊かな暮らしができるようになりました。清正が行った水利土木について書いた書物は、現存する『藤公遺業記』以外には残念ながらほとんどありませんが、現在も「土木の神様」と言われて今日に至っています。

清正が肥後国を治めるために第一に考えたことは、民心を安定させることでした。そのためには生活を保護すること、生活の保護のためには働き甲斐のある収穫を取れるようにすること、と考えました。そこで治水に着手したわけですが、さらに一時的な間に合わせではなく、根本的な思慮の上に手をつけたことに、「清正公さん」の人間愛、民への深い親切がありました。

加藤清正は、慶長16(1611)年、京都から熊本に戻る船の中で体調がすぐれぬようになり、誕生日でもあったその年の6月24日にこの世を去りました。

 

加藤清正がこの世を去って400年を過ぎました。現在までの間、西南戦争の熊本城攻防戦、明治22(1989)年の金峰山地震(推定M6.3)、大東亜戦争時の熊本大空襲などにも、数か所の損壊などはあったものの、それにも熊本城は耐えてきました。現在の熊本城の姿を見て、ショックを受ける人も多くいます。しかし、以前と変わらず熊本市内から見える熊本城の大天守を見て、「がんばらなん」「負けんばい」と勇気を与えられる人もまた多数います。熊本城は、熊本県民にとっての大きな誇りなのですから。


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