校長の道徳授業

青い鳥を探して13 「結婚という青い鳥」

2012.08.19

 結婚という青い鳥

昨年 新聞の記事に

「日本の出生率(女性一人が生涯に出産する子供の人数)が1.3台に落ち込み、わが国は世界で最も少子高齢化の進んだ国になってしまいました」

このようなものがありました。

政府の今後の人口予測を見ると、年少(0~14歳)人口は、5年後に10%、10年後に20%、20年後に33%、そして40年後には50%減少するとなっています。それに伴って当然のことですが日本国民全体の人口も既に減少期に入っています。

まだまだ先のことだからと君にはあまり関心がないかもしれませんが、実はこのことはそんなに先の話ではなくて、君たち高校生が大人になっていくのに合わせて真綿で首を締めるように深刻さの度合いを深めていくわけで、無関心ではいられないのです。少子高齢化が進むとどんなことになるかというと、社会から活力が無くなり、減少していく若い働く世代が今とは比較にならないほどの高い税金を納めて、増加していく高齢者の生活や社会そのものを支えていかなければならなくなるからです。今皆さんの周りで小・中学校や公立高校の統廃合が進んでいますよね。あれがもっと大掛かりに繰り返され、しかも学校だけではなくあらゆる施設や行政機能が失われていき、地方はゴーストタウンになっていくのです。

先に話したように、日本は平成20年度から既に人口減少期に入りましたが、効果的な対策は一向に政府から出てきません。同紙によると、全ての少子化対策が「妊娠から始まっており結婚はどこにも無い」ことがピント外れの対策になっている原因と指摘しています。一番の問題は未婚率の高さと結婚の高齢化なのです。昭和50年の30~34歳の男性の未婚率は14.3%、25歳~29歳女性は20.9%だったのが、平成17年になると男性47.1%、女性59%と跳ね上がっています。(産経新聞5月7日)「未婚率が高まると子供が生まれない」し、「婚期が遅れると子供が一人になる可能性も大きい」からです。少子化の7割の要因は未婚化(同紙)にあるのです。

人口を維持していく為には出生率2.07人が必要なのです。確かに私の周りを見ても若者の人口はドンドン減っていくのに結婚しない人が多くなっているし、結婚しても子供がせいぜい一人か二人になってきています。これでは少子化は加速度的に深刻化するのは火を見るよりも明らかです。なぜそうなってしまったのでしょうか。その原因はいろいろと複合的に重なっていると思いますが、一言で言うと結婚に対する考え方が変わってしまったということだと思います。個人重視の価値観の中で結婚のもつ意味が薄れてきたのですね。結婚によって自己実現という自分の人生の価値を損ねたくない…。結婚によって自由を束縛されたくない等々。多くの現代人がそのような価値観に変わったのです。

君もそうかい? 結婚して家庭に縛られて人生を終わりたくない? 女性も男性と同じように社会的に自己実現する権利がある?

誰から聞いたの? テレビで言ってた?

なるほど。しかし君はまだ高校生なのだから結婚について今からそのように結論付けるのは早すぎると思うよ。結婚が本当に自己実現を妨げることになるのか、あるいは結婚が自由な人生を束縛するものなのか、改めて冷静に考えてみようよ。

私たち夫婦は結婚して早いもので37年目になります。この37年間は私たちにとってまさに波乱万丈の人生でした。家内にはずいぶん苦労をかけました。ではそれが家内にとって自己実現を妨げたのか、あるいはそれぞれの人生を犠牲にしたかというと、決してそうではありません。むしろその反対です。

まず二人分の人生を共有できましたから、犠牲になったどころかひとりだけの人生よりより豊かな人生になったといえます。二人だったからどんな苦難も乗り越えてくることができたし、沢山の貴重な体験もできましたしね。

次に結婚というのは1+1=2ではなかったということです。1+1=無限でしたよ。それが結婚なんです。結婚によって無限の価値が創造されていくのです。例えば子供。私たちには3人の子供が授かりましたが、この3人の子供たちがそれぞれの人生を歩んで私たち夫婦がそれぞれ一人だけでは到底なしえない多くの価値を創造していく。そして孫たちがさらに新しい価値を創造する。こうやって未来に向かって無限の価値が創造されていくわけです。これほど偉大な自己実現はありませんよ。一人でなしえる自己実現なんて高がしれています。5月号で話したように人間は独りでは生きていけません。一人で何かをなそうとしても何事もなしえないのです。多くの人とのかかわりの中でこそなしえる。すなわち自己実現は人とのかかわりの中でのみなしえることなのです。その人とのかかわりの中で最も身近でかけがえに無いものが夫婦や家族なのです。

結婚によって家庭に縛られることになるのではなく、結婚によってむしろ人生がより自由により充実するというのが真実なのです。

女性も男性同様社会的に自己実現する権利がある。そのとおりです。「結婚して子供が生まれると家事や育児に時間が取られて結果的に自分の仕事ができなくなるじゃん」と言いたそうな顔をしているね。果たしてそうでしょうか。世の中には良妻賢母を貫いてしかも社会的に大きな仕事をした女性は数え切れません。むしろ結婚し子供を授かったからこそ大きな仕事ができた女性たちなのです。第一、女性がみんな今の君のような考え方をしていたら人間社会は崩壊してしまうではありませんか。そうなったら自己実現どころか生きていくことすら出来なくなってしまうよ。

どう? 少しは考えが変わった? 少なくとも君がテレビで聞いたことは、考え方の一つであってそれが全てではないとわかった? 今日のところはそれで十分です。ここが分らないと最初に述べた少子化問題の解決は無いからね。来月はもっと具体的な話をしましょう。どうぞお楽しみに。


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