校長の道徳授業

真実はこうだ!4 「憲法改正の是非を問う日が来た④」

2015.01.01

道徳授業 特別編(4)「真実はこうだ!」 ―憲法改正の是非を問う日が来た―

― 憲法の改正は「平和な暮らし」を守ること

特別編(3)では、平和憲法が日本の平和を守ってきたということが実は真っ赤な嘘であり、むしろ平和憲法と言われる現憲法の第9条が、我が国は「自衛権」はあるが「交戦権」はないという大きな矛盾を抱えていて、その結果、常に平和を脅かされてきたことを学びました。そして日本の平和を守ってきたのは「東西冷戦時代」にあって、アメリカとの安全保障条約と自衛隊によって守られてきたことを知りました。つまり、アメリカの核の傘で守られてきた平和だったのです。

この憲法特集である特別編の最終回となる今回は、これからの日本の平和と安全はどのように守っていけばいいのか、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

1、米中冷戦時代(新冷戦時代)の日本の課題=「自分の国は自分で守る自立国家へ」

(1)米中冷戦時代に入った!!

1991年12月のソ連崩壊によって、46年間に及んだ東西冷戦時代は終焉を迎えました。その後、アメリカ一極時代が到来しましたが、それもつかの間、ソ連に代わって今度は中共(中華人民共和国の略)が台頭し、米中冷戦時代となりました。

東西冷戦と米中冷戦の大きな違いは、かつてはアメリカの国力がピークにあったこと、今回はそれが衰退期にあることです。変わらないのは、日本が冷戦の最前線に立たされているという厳然たる事実です。そして、かつてはアメリカにおんぶに抱っこで日本の平和が維持できたけど、今度はそうは問屋が卸さないという厳しい現実に直面しているのです。もはやアメリカには、かつての力はありません。自分の国は自分で守る国民の意思とその体制があって、はじめてアメリカとの同盟関係が生きてくるのであって、自分の国を守る意志もないのにアメリカが日本を守るなんて、絶対にありません。日本のために戦うということは、アメリカの若者の命が犠牲になり、国民の多額の税金が吹っ飛んでしまうということですからね。

(2)尖閣諸島が危ない!!

尖閣諸島は、1895年1月14日、閣議(内閣の会議)で領有を決定して以来、国際的にも認められた日本の領土です。今は、個人の地主から政府が買い上げて国有地となっています。沖縄県石垣市に属しています。

1968年、日本、台湾、韓国の専門家を中心とする国連の調査の結果、尖閣周辺の東シナ海に石油埋蔵の可能性があると発表されて以来、中共が「尖閣諸島は自国の領土」と主張し始めました。そして近年、日本との間で、尖閣周辺で一触即発の緊迫した情勢が続いています。中国の船による領海侵犯は、年間50回から60回に及んでいます。中共政府が尖閣を強奪しようとしているのは、火を見るより明らかです。尖閣がもし守れなかったら、次は沖縄です。そうなったら日本のシーレーン(海上輸送ルート)は断たれて、日本経済は成り立たなくなります。そして、次は九州です。

ネットで流れている「2020年中華人民共和国予定図」という中華人民共和国人民解放軍が作成した日本地図を授業で見たでしょう。西日本は東海省、東日本は倭人日本自治区となっていましたね。これを見れば、中共の日本侵略の意図は見え見えではありませんか。

米中冷戦時代の中、日本の防衛をアメリカにおんぶに抱っこの状態で、中共の侵略からどうやってこの平和な日本を守ることができるのか。国民投票が現実味を帯びてくる中、君たち高校生も、一人ひとりにその判断と選択が迫られているのです。

2、憲法9条で自衛隊は手足を縛られている! <松島悠佐元陸将に聞く>

勇志国際高等学校は、学校法人青叡舎学院が設置している学校であることはみんな知っているよね。その青叡舎学院の理事のおひとりに、松島悠佐先生がいらっしゃいます。松島先生は、陸上自衛隊の中部方面総監を務められた方、自衛隊のトップだった方です。今日は、松島先生を囲んで、自衛隊の現状についてお話を伺いたいと思います。まず、私から先生にご質問します。あとはみんな、疑問に思うことを質問してください。

<野田校長(以下 野田)>松島先生が出版されている「自衛隊を国防軍にする理由」(明成社)をテキストに、生徒たちに、自衛隊と憲法の関係について教えていただきたいと思います。まず、「日本がどこかの国に侵略されそうになった時はアメリカが守ってくれるので憲法を改正せず今の自衛隊のままでも良いではないか」という意見がありますが、これからの日本を担っていく高校生はどう考えたらいいのでしょうか。

<松島先生(以下 松島)>簡単に言うと、今の憲法では日本の防衛は「アメリカが主で日本が従」です。アメリカに、その意思と力があることが前提になります。これでは、日本の防衛体制は常に米国依存で、大きな不安を抱えていることになります。日本が真に独立した主権国家であるためには、憲法9条を改正して「日本が主でアメリカが従」の防衛体制にしなければなりません。

<生徒A>今の憲法のもとで、自衛隊にどのような不都合なことがあるのでしょうか。

<松島>憲法9条は、「戦争放棄・軍隊不保持・交戦権の否定」をうたっています。ですから、自衛隊は軍隊ではありません。軍隊でない自衛隊が「武力行使」できるのは、「我が国が侵略を受けて、総理大臣が武力攻撃事態と認定し、国会の承認を得て防衛出動を命じた時」だけです。ですから、テロ攻撃や、尖閣などの離島で小規模な事態が発生した場合などは、武力攻撃事態と認定されない恐れがあり、自衛隊は組織的な武力行使ができません。この場合は、警察や海上保安庁が対応することになっており、それが手におえないとなった場合に自衛隊が出動することになります。この場合の自衛隊は、警察官職務執行法を準用しなければならないとなっていて、必要に応じて武器の使用はできますが、それは自衛官個人が自分の身を守るための使用であって、正当防衛や緊急避難に該当する場合以外は人を傷つけてはならないとなっています。これでは、部隊としての行動がとれません。また、最近では、テロや工作活動などが紛争の形態になっています。これは「武力攻撃事態」と認定できない、いわゆる「グレーゾーン」と言われる状態ですが、今の憲法下では、この事態に自衛隊は対処できません。

<生徒B>この前の憲法授業で、勇志の先生から、尖閣諸島に中国の工作員やゲリラが上陸する恐れがあると聞きましたが、そうなったとき、自衛隊はどのように行動できるのですか。

<松島>さっき話したように、自衛隊が防衛出動できる条件が厳しく決められています。「他国からの武力攻撃事態」というのは「外部からの組織的、計画的な武力の行使」となっていますから、尖閣に工作員などが強行上陸した場合、「他国の軍隊による組織的、計画的な武力の行使」とはっきりわかるまで、自衛隊は出動できません。これは尖閣などの無人島だけでなく、原子力発電所などへの局地的な小規模な攻撃の場合も同じで、それが他国の軍隊によるものか、国内の過激分子によるものかの判断はすぐにはできません。他の国では、軍隊が武装工作員やテロやゲリラなどの襲撃に対処できるようになっています。我が国もできるだけ早く憲法を改正して他の国並みにしておかないと、最近の国際紛争のほとんどがいわゆる「グレーゾーン」の状態であり、自衛隊が国家の自衛すらできないこととなってしまいます。

<野田>最後に、日本の平和を守るため、憲法のどこをどう改正すべきでしょうか。ご教示ください。

<松島>憲法9条の1項で国家の「自衛権」は認めていますから自衛隊は存在していますが、あくまでも軍隊ではありません。しかし、その行動や権限については憲法に抵触しないように厳しく抑制されています。手足を縛られて踊らされているようなものです。日本の平和を守るためには、憲法9条を改正して、「国を守るために自衛権を行使する国であること(交戦権を含む)、そのための国防軍を保持すること、国防は国民の義務であること」の3点は、憲法で明記することが必要だと思います。

<野田>松島先生、今日はお忙しい中、ありがとうございました。

※校長の道徳授業は、学校新聞「ポプラ通信」にて毎月連載しております。購読希望の方は、勇志国際高等学校 ポプラ通信編集部(chiba@yushi-kokusai.jp)までお知らせください。


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