校長の道徳授業

「ひとりぼっち」社会からの脱出3

2019.01.15

~「人権意識の進化」が求められている(1)~

 

皆さん、新年あけましておめでとうございます。私は、お正月にはいつも「幸せは感謝の数だけやってくる」という勇志の標語を、元旦に3回朗唱することにしています。

この標語を作ったのは、実は私です。7~8年前の年賀状に書いたのが始まりでした。そのころ、勇志の生徒数がどんどん増加して、感謝の気持ちで一杯でした。今年はまた、改めてすべてに感謝して、わが校に、そして生徒の皆さん全員に大きな幸せを呼び込むぞと、決意を新たにしています。

 さて、さっそく、昨年から引き続き、「基本的人権」について学習しましょう。

 

第3章 現代の人権思想の現状と課題

 

1、現状~人権をめぐって二極分化した世界

第2章で学習した通り、世界は第1次、第2次世界大戦を経て、やっと人種に関係なく「人権」が保障され、国家はその面積、人口、経済力、軍事力、文化や宗教などによって差別されない時代を迎えたのです。

しかし、残念ながら現実の国際社会は、人権をめぐって、二極分化しています。

未だに、国家の権力者が、自国の国民や周辺諸国の国民の人権を抑圧している専制政治の国々が存在しています。

これに対して、民主主義が発達し国民の人権が守られている国々は、国民の孤立化(ひとりぼっち化)という新しい人権問題に直面しています。

 

(1)人権抑圧の国家の存在

 ①中国の現状

中国の人口は、13億人です。5つの自治区があります。その自治区はもともと別の国であり、中国人(漢族)とは違う民族が住んでいました。人口は合わせて約1億3千万人、日本の人口くらいです。面積は中国全土の45%を占めています。

これらの自治区は、中華人民共和国が誕生した1949年以降、中国に組み込まれて自治区になりました。その自治

区で中国人による組織的な凄惨(せいさん)な人権侵害が行われているのです。

2018年7月27日、アメリカのペンス副大統領が、「中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区で中国政府によって数十万か

ら数百万のウイグル人が不当に拘束されている。即刻釈放すべきだ」と公式に異例の批判をして、国際的に大きな賛

同の声が巻き起こりました。

また、ウイグルの14歳から25歳の女性は、故郷から遠く離れた大都市に連れていかれて、働かされ、中国人と強

制的に結婚させられている。だからウイグルの男性は結婚相手を奪われ、ウイグル人の血が途絶えさせられつつある

という証言もあります。すでに、自治区に組み込まれてから百数十万人以上のウイグルの人々が殺害されたというの

です。他の4つある自治区も同様です。深刻な人権圧迫が続いています。

人権侵害は、これらの自治区の少数民族だけではありません。中国人(漢人)も基本的人権は大きく制限されており、抗議活動すると拘束され、自由が奪われています。共産党独裁が国家の基礎ですから、共産主義以外の思想を持つことは非合法であり、危険分子として迫害され、場合によっては処刑されています。つまり、思想の自由、表現の自由など初めからないのです。

 

②北朝鮮

北朝鮮の実情は、さらに悲惨です。金一族による専制政治が横行し、国民に人権は全く与えられず、命の保証はもとより自由も幸福追求権も、すべては金一族による専制体制の犠牲にされ、日本からは多くの日本国民が不当に拉致され、著しい人権侵害が今も進行中です。

 

(2)国民の「孤独化現象」に悩む国家の存在

 ①新たな人権問題に直面

一方で、高度に民主主義が発達した自由主義諸国では、新たに国民の「孤独化」という深刻な課題に直面していることは、すでに第1章で学習しました。

この現象は「新たな人権問題」として急浮上してきた世界的な現象です。

 

②「人権」は「権力者と国民の力関係」が本質だった

権や民主主義は、国民が革命などで時の権力者と戦って奪い取っていったものでした。

つまり「人権思想」の歩みから見た人権の本質は、権力者と国民の間の力関係という側面があります。権力者に帰属していた絶対権力を、国民が奪い取ってその立場を逆転させてきたのが「民主化」でもあったのです。

 

③「人権」が国民個々の関係において作用するようになった

 権力者と国民の間の力関係であった「人権」が、「民主化」の発展によって、逆転の結果を生じてきました。

権力者は国民が選挙で選ぶのが民主主義ですから、権力者は、国民の人権を圧迫するような政策をとれば選挙で落選し、その権力者の立場から追われます。したがって国民の人権をより尊重し保証する政策をアピールするようになっていきました。

 その結果、人権は、国民から権力者に向かって要求されることよりむしろ、国民個々の権利として国民相互に主張されるようになり、国民生活がギクシャクしたものに変化してきたのです。

その過程で、国民の「人権意識」は高まる一方で留まるところを知らず、これと個人主義が相まって、結果的に、国民間の絆や共同体が破壊され、気が付いたら「ひとりぼっち社会」になっていたというわけです。

 

2、課題

 では、この現状にどのように対応したらいいのでしょうか。一緒に考えてみましょう。

(1)専制政治の国家に対して

  まず、専制政治の国々に対する考え方です。

①日本国憲法前文の精神を発揮して毅然としてこれらの国家体制に対応する。

日本国憲法前文の「平和主義の理念」の中に、

「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から除去しようと努めている国際社会にあって、名誉ある地位を占めたいと思う」

と、あります。これは、まさにこれらの専制政治の国家をさしているのであり、この憲法の精神に従って、毅然としてこれらの国家の絶対権力者と対峙し、その国の国民の生命と自由、そして幸福追求権を確保できるよう力を尽くすのが、日本国憲法の平和主義にのっとった外交の基本でなければならないのです。

②アメリカをはじめ価値観を同じくする国家と連携して国際社会の平和の確立と発展

 に尽力するとした、我が国の現政権が掲げる「価値観外交」または「積極的平和主義」は、この考えに基づくものと解釈することができます。

つまり、ここにいう「価値観」こそ、「専制と隷従、圧迫と偏狭を、地上から永遠に除去する」という価値観です。 (次号に続く)


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