校長の道徳授業

真実はこうだ!4

2015.10.10

不公正で正義を踏みにじった裁判―

内容―敗戦国だけが裁かれたリンチ裁判 

 

裁判というのは公正さが最も大事です。公正でなければ裁判として認めることはできません。例えば君たちが誰かとけんかになったとしましょう。その仲裁(ちゅうさい)に入った私が、最初からA君の味方についていて、A君の言い分だけ聞いてB君の言い分には耳も傾けないなら仲裁にならないでしょう?

ところが東京裁判は、まず第1に、けんかに勝ったA君の方が自分の仲間だけ集めてきて、負けたB君だけを全部お前が悪かったんだと決めつけてリンチにかけるような、不公正で正義を踏みにじった裁判とは名ばかりの復讐(ふくしゅう)のためのセレモニーだったのです。

しかも国際裁判です。戦争には当然戦争になった原因があります。だって戦争になると多くの人々が死ぬし経済的損失は莫大なものになる。もし負けたら指導者の責任は極めて重大です。ですから誰も好き好んで戦争する者はいません。それでも戦争せざるを得なかったどうにもならない原因があったのです。

ですから国際裁判でこれを裁くときは、戦争行為の中でしてはならないルールを国際法で決めてあって(これがBC級戦犯)、これに違反した行為のみを、どちらが勝ったかに関係なく裁くことでなければならないのです。

例えば捕虜(ほりょ)虐待(ぎゃくたい)や非戦闘員(軍関係者以外の一般人)の殺害などです。つまり戦争そのものを裁く(これがA級戦犯)ことはできないのです。

しかし、東京裁判はこの国際的取り決めである国際法の基本中の基本を根本から踏みにじったのです。

 つまり東京裁判の不公正その1は、勝った方は裁かれずに、負けた日本だけが裁かれた裁判であったという点です。

 勝った方に非はなかったのでしょうか。そんなことはありません。だって広島・長崎の原爆投下や、東京大空襲をはじめとする日本中の主要都市を焦土(しょうど)と化した爆撃は、40万人以上もの女性や子供を含む非戦闘員を殺戮(さつりく)したではありませんか。明らかに非戦闘員を殺害してはならないという国際法の重大な違反であるし、リンドバーグの第二次世界大戦参戦日記などによると、米軍は日本兵の捕虜のほとんどを殺害したというではありませんか。これも当然裁かれるべき行為ですよ。

 さすがに東京裁判では、日本側のつまり被告側のアメリカ人弁護人であったブレイクニー弁護人が裁判でこのことを舌鋒(ぜっぽう)鋭く追及しています。

 

 さあ、ここで勇志号に登場してもらいましょうか。そのブレイクニー弁護人の弁論の現場にみんなを案内しましょう。

 みんな乗ったかい? ヨッシャ、では出発進行。行き先は昭和21年(1946年)5月14日。東京市ヶ谷の極東国際軍事裁判所法廷内。

 法廷内は緊張感に包まれていますね。正面の裁判官席とそれに向かい合った雛壇(ひなだん)が被告席。その中間の陳述台に立って熱弁をふるっている細身で面長のハンサムなアメリカ人が、被告たちのために大活躍して下さったベンブルース・ブレイクニー弁護人です。みんな彼の弁論に聞き入っています。

 何か急にざわつき始めましたね。何か重大発言があったのでしょうか。しかし被告席と正面に向かって左手の中二階の日本人の傍聴人席はみんなポカーンとした表情で周りをキョロキョロと眺めています。

 実はずいぶん後になって分かったのですが、この時、突然、ブレイクニー弁護人の英語による弁論の日本語通訳が中断したのです。そしてこの中断した部分は日本語の速記録にも「以下通訳なし」と書かれていて、どんな発言があったのか日本人には隠されていました。しかし英文の速記録には当然ですが記録されていました。後年その内容を我々日本人は知ることになったのです。

 では、その「問題発言」を、時間を数十分さかのぼって聞いてみましょう。

勇志号が自動通訳してくれるから中に乗っている君たちは法廷通訳官の通訳がなくても聞けるから心配いらないよ。本当にこの乗り物は便利ですね。ちなみにこの勇志号という時間空間を超越して瞬時にいつの時代へも世界中どこへでも行けるタイム・マシーンは、勇志の生徒である君たちの専用だから、君たち以外の人は乗ることができません。

 さあ、ブレイクニーさんの「問題発言」です。

「戦争での(軍隊間の)殺人は犯罪にはならない。戦争は(国際法上)合法だからです。つまり合法的な人殺しなのです。殺人行為の正当化です。たとえ嫌悪(けんお)すべき行為であっても、犯罪としての責任は問われなかったのです。キッド提督(戦艦アリゾナ艦長、真珠湾攻撃の際、弾薬庫への誘爆(ゆうばく)で沈没し戦死)の死が、真珠湾爆撃による殺人罪になるならば、我々は広島に原爆を投下した者の名をあげることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首(大統領)の名前も我々は承知している。それらは殺人罪を意識していたか。してはいまい。我々もそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからである。

 何の罪科で、いかなる証拠で、戦争による殺人が違法なのか。(一方で)原爆を投下した者がいる!その者達が裁いているのだ!」

 以上の発言が日本人に隠されていたのです。

ここで少し解説する必要があるようですから、みんな勇志号で一旦教室に帰還しよう。

 アメリカ人というのは懐が深いよな。日本への報復裁判を実施しながら、一方では正義を貫くために祖国であるアメリカの非をも同様に裁くべきと主張する勇気あるアメリカ人弁護人たちがいたのですから…。

 さて、学校に到着しました。それでは今日はブレイクニーさんのさっきの「問題発言」について解説します。 

 この発言は裁判所にとって極めて大きな衝撃であったのです。これが公になると、こんな非人道的な行為をしたアメリカの信用は失墜し、東京裁判そのもののいかさまな本質もさらけ出すことになってしまうからね。だから通訳を中断させ日本語の速記録を削除した。

 のちにアメリカは原爆投下を正当化するために「戦争を早く終わらせ、百万人のアメリカ兵の命を救うためには、20万以上の日本人が殺されてもやむを得なかった」と主張してきましたが、これについては当時の米軍の最高幹部などから多くの異論が出ています。

 ウイリアム・リーヒ海軍大将は次のように公言して各方面に衝撃を与えました。彼はアメリカ統合参謀本部の責任者であっただけでなく大統領の首席補佐官でもありました。

「広島・長崎にこの残忍な兵器を使用したことは対日戦争で何の重要な助けにもならなかった。日本はすでに打ちのめされており、降伏寸前だった。」

 原爆投下前から日本はソ連(今のロシア)に和平交渉仲介の打診をしていたという情報は、すでにアメリカ政府はつかんでいたというのです。だから戦争を早く終わらせるために必要だったという主張は嘘だったということです。

 さらにのちに大統領になったアイゼンハワー(対ヒトラー作戦の司令官)は、原爆投下作戦決定の報告を受けたときの感想として次のように発言しています。

「報告を聞くうちに私は、憂鬱になって(次の通り)大きな不安を口にした。第1に日本の敗色は濃厚で、原爆の使用は全く必要ないこと、第2に、不必要となった兵器を使うことで世界の世論に波紋を広げることは好ましくないということ。日本はまさにあの時、面目を潰さない形で降伏しようとしていたのだ。」

 

つまり、裁かれるべきはアメリカも同じであって、負けた日本だけが一方的に裁かれる裁判などとてもまともな裁判とは言えないということを、ブレイクニーさんは裁判で主張したということです。

東京裁判は裁判という名を借りた「報復劇(ほうふくげき)」つまり「リンチ」そのものだったのです。

 

 

 

 

 


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